残間 櫻井さんというと、こうしてお会いしていても、
フンワリというか、とても優しい印象を受けるんですが、
一方で、旗幟鮮明に毅然とした物言いをなさいます。
そのせいで、向かい風や嵐に遭うことも多いと思うんですが、
この勇気というか、気構えの源は?



櫻井 私は記事を書いたり発言する時は、自分で取材をしています。
ですから私なりに事実を知っているつもりです。
それに対していろんな批判は、当然起きると思うんですね。
でも取材をして、証言も取っている。
事実を確認したという自信はありますね。

例えば、北方領土問題で鈴木宗男さんと
論争をしたことがあります。
周囲の人の中には「面倒なことになるから」と、
関わりあいを避けるように助言する人もいました。
でも、それは違うと思うんです。
報道する側、言論で問題提起をする側は、取材をして、
資料も読んで、考えられるありとあらゆることをして、
自分の情報の正確さを確かめているわけです。
であるなら、鈴木宗男さんに限らず、
誰の批判も恐れる必要はないわけです。
当然、怯む必要もない。
たぶん、そんなところから他の人がしない、
はっきりとした物言いというのが出てくるんだと思います。

言論人として気をつけてきたことが幾つかります。
筋が通らない事、あまり他人にオープンに出来ない事は
しないということ。
例えばうちの経理担当の者にいつも言うのは、
「節税はいいけれど、絶対に脱税はしないで」ということです。

1円でもごまかさないでね、とも言っています。
よくお車代といって、5千円、1万円というお金を
いただくことがあります。
あれは申告しないでいいと言う方もいるようですが、
私の所はそれも全部申告しています。

論陣を張って、言ってみれば
世間に向かって偉そうな事を言っているわけです。
その一方でおカネをごまかすとしたら、
世の中に顔を向けられないですよね。
私も人間ですから、勿論、完璧ではあり得ません。
けれど、出来るだけ、隙をつくらず、喧嘩をした時に
負けない体制を(笑)作っているつもりです。





残間

それから櫻井さんが毅然としているのは、
自分が間違っていたり、考えを改める時もそうですよね。
そのつどきちんとおっしゃるでしょ。
あとで間違いに気づいても、
うやむやにする方が結構多いですからね。



櫻井 私だって間違えます。
例えばCO2の問題があります。
私も最初はCO2が大変だと思っていたんですけど、
いろんな科学者の言っていることを調べていくうちに、
確かに温暖化は進んでいるけれど、
その原因が本当にCO2かどうかはわからない、
ということを知りました。
CO2が無関係だとは思いませんし、
確かに温暖化は起きています。
しかし、CO2さえ減らせば温暖化が止まるというのは、
ちょっと単純過ぎるようです。
ですから鳩山さんのCO2削減案も、
CO2だけに依拠しているという点と、
25%という数字を最初に打ち出したことに、
私は批判をしています。

わたしもCO2が温暖化の原因だと思って、
記事を書いたこともありました。
しかし、これはどうやら間違いのようだとわかった時には、
新しい情報を提供して、それまでの論を訂正しています。

さっき取材をしていると言いましたが、
いくら取材をしても間違うことはあるんですね。
福田恆存さんが
「ひょっとしたら自分の考えはまちがひかもしれないぞ
といふ意識にたえず支へられながら、
未来について語ってください」と言っておられますが、
そのとおりだと思います。






(つづく)