5月25日(日)
少し冷静になってみれば、
「今までこんなことが無かったのが不思議なことだったのかも知れない」と、
思えるのだが、いゃぁ、参った、参った、
まさかという事態に遭遇してしまった。
朝4時に起床して、5時半前に家を出て富山に向かったのだが、
羽田のカウンターで、
予約していたはずの富山便に私の名前が見当たらず、
調べてもらったら次の便に予約されているという。
それでも早く空港に着いたお陰で、
(私はいつも羽田には、60分から90分前には着いているので)
空席があり、一応搭乗はしたのである。
(その時は残席が一席だけだったので、「うゎっ、ラッキーッ!」と喜んだのだが・・・)
着席してベルトを装着した時、
「富山空港はあいにく視界が悪いので、
着陸出来ない場合は小松空港に着陸するか羽田空港に戻ることになります」
というアナウンスが入ったのだが、
漠然とさっきの「幸運」が続いているような気がして、
あまり気にも止めないで、
機内でやらなければならない原稿の校正作業に勤しんでいた。
(私の場合、常に時間が足りないので、
往復の移動時間に何をやるかあらかじめ決められているのである)
それにこういうアナウンスは間々あるのだが、
大抵は何とか着陸出来るので、
今日もちょっと大袈裟に言っておいて、結局は無事に降りて、
「うーん、このパイロットはなかなかいい腕だ!」と思わせたいのだな、
くらいに思っていたら、これが大マチガイなのだった。
「視界不良のため富山空港上空を20分ほど旋回します」と言う、
キャビンアテンダントのアナウンスに続いて、
「着陸態勢に入り上空より2キロ地点まで降下を試みましたが、
雲に切れ間が無く、滑走路が確認出来ないので再び上昇します」
と言う機長のアナウンスがあり、
さらに20分が経過した時、
「もう一度着陸を試みます。揺れが予想されますので、
シートベルトをしっかりお締め下さい」と、
「何とか頑張ってやってみるからね」という、
前向きな感じの機長のアナウンスがあったので、
「やっぱり大丈夫なんじゃない?」と、
この時もまだ高を括っていた私。
短時間の間に上がったり下がったりを何度も経験したので、
降下していた機体が再び上昇したのは、私にもはっきり解った。
「2回目の着陸を試みましたが、先ほどと同じく滑走路が見えませんので、
この飛行機は羽田空港に引き返すということに決定致しました」
一気に元気を失った感じの機長の声を聞いた時、
私は初めてことの重大さに気がついたのだった。
私の講演は10時半からとなっていた。
本来なら9時には高岡市の会場についているはずなのだから、
担当のイシクラさんは今ごろさぞ困っていることだろう。
一刻も早く報せなければと思っても機内での携帯電話は禁止されている。
多分イシクラさんも羽田に引き返したという情報は得ているだろうが、
天候が悪いのを知った私が、気を利かせて電車に変更した、
などとは考えてはいないだろうか。
いくら天候のせいだとは言え、
何よりも私如きの講演会に、
足を運んでくれようという心やさしき聴衆のみなさんには、
本当に申し訳ないことをしてしまった。
飛行機は9時55分、朝出た場所と同じ65番スポットに到着した。
約3時間の空の旅、
揺れと焦りでクタクタになって帰宅した。













































